AIシェルパご利用事例
2026.09.03
「安易に答えを出さないからこそ、自ら考え抜く。コニカミノルタジャパンの管理職候補者育成(人財育成AIシェルパ導入事例)」
AIシェルパ導入事例インタビュー
コニカミノルタジャパン株式会社
人事統括部 人財開発部長 佐藤 浩司様
複合機やICTソリューション、オフィス空間デザインを通じた「働き方改革支援(情報機器事業)」をはじめ、医療現場のDX化を推進する「ヘルスケア事業」、色や光を数値化するものづくり支援「センシング事業」など幅広い領域でソリューション・サービスを展開。
従業員数は2,795名(2026年4月現在)、全国に営業所およびサービス拠点を展開するコニカミノルタジャパン株式会社。
今回は、人財開発・組織開発を担う人材開発部長の佐藤 浩司様に、人財育成AIシェルパの「管理職候補者育成プログラム」を導入したきっかけや、導入後の効果についてお話を伺いました。
■今回導入されたプログラム:「管理職候補者育成プログラム」
■対象者:管理職候補層
「AIシェルパ」は、研修後のやりっぱなしを防ぎ、「理解」を「実践できる」へと高める人財育成AIです。
「管理職候補者育成プログラム」では、3日間の研修を実施後、約5ヶ月間にわたりAIが伴走。週1回もしくは隔週1回、職場変革(組織変革)を目的に研修内容・職場実践の振り返り、結果に基づいた改善を重ねていきます。
毎回の対話時間は15分程度。職場での実践力向上と実際の業務課題解決をサポートします。
学びを単発で終わらせない「行動の変革」を目指して
―― はじめに、AIシェルパを導入されたきっかけや当時の背景について教えてください。
佐藤様:弊社では以前から、新任管理職および管理職候補者を対象とした育成プログラムを実施していました。3日間の集合研修を受けた後、約5ヶ月間(新任管理職はもう少し長い期間)の「職場実践」期間を設けて受講者に伴走する長期間のプログラムです。
このプログラムで求めているのは、単なるスキルの習得ではなく「意識や行動を変える変革」です。一般職から管理職(エンパワーメントリーダー)へと役割が変わる際には、これまでのやり方や考え方を大きく変える必要があるため、研修でのインプットで終わらせず、現場で実践してもらうためのフォロー体制を重視してきました。
具体的には、職場実践の期間中、受講者3〜4名で「変革チーム」を編成し、各自が立てた「組織変革プラン」をもとに月1回集まってレビューし合います。さらに実践期間中には1回、人事も入る「対話セッション」の場を設けるなど、実践のコツを横展開しながら「振り返り」を深める仕掛けを整えていました。
―― 研修にとどまらず、現場での実践と手厚いフォローを通して、意識や行動の変容を促されていたのですね。
佐藤:はい。ただ、そのような仕掛けを整えても、なお「振り返りの質」という課題が残っていました。具体的には、振り返りのレベルや深さが受講者によってまちまちであるという点です。
行動変容を起こすには、受講者自身が自らの行動を深く考え、振り返る必要があります。しかし、数十名以上いる受講者全員に対し、人事のリソースだけで1人ひとりにきめ細かく密着伴走するのは難しい。
この「工数の課題」と「振り返りの質のばらつき」という2つの課題を解決するには「AIシェルパ」は効果的なのではないかと考えました。
AIシェルパが受講者1人ひとりに寄り添い、適切な問いを投げかけて振り返りを引き出してくれる。これなら、1人ひとりの振り返りの質を変えることができるのではないかと考えて導入しました。
―― 導入の決め手になったポイントや、AIシェルパに期待していたことはありますか?
佐藤様:社内でもCopilotなどの生成AIツールは普及し始めており、AIを活用して自己対話を深めること自体は可能になってきています。ただ、「AIシェルパ」は最初から人財育成プログラムとして明確に設計されている点が、導入の大きな決め手でした。
一番の強みは、人財育成に精通しているAIから適切な問いを投げかけてくれるという点です。あらゆる自己対話は「問い」から始まります。従来の生成AIだと、自分自身で適切な問いを持っていなければ、「これどうすればいい?」と聞いて答えが返ってきて終わり、になりがちですよね。
一方、AIシェルパは「今週の目標達成度は何%くらいですか?」といった、ちょうどいい粒度の「呼び水」となる問いをAIから投げかけてくれます。そこから対話がスタートし、受講者の答え方次第でどこまでも深い内省へと進むことができる。この設計こそが、AIシェルパの真の強みであり、人財開発において非常に価値が高いと感じています。
管理職としての成長につながる「安易に答えをもらえないこと」の価値

―― 導入の際に懸念していたことはありましたか?
佐藤様:強いて言えば「受講者が本当に継続して使ってくれるか」という点ですね。ただ、実際に導入してみると、想像以上に使ってくれていました。
―― そうですね。利用アンケートや利用状況データを見ても、「必ず使ってください」と強く強制したわけではないにもかかわらず、多くの受講者が自発的・継続的に活用してくれている印象です。
佐藤様:もちろん個人差はありますが、活用している人は毎週きちんと取り組んでいます。
おそらくですが、受講者が「安易に答えをもらえないこと」の価値に気づいたからではないでしょうか。
通常、AIを利用するときには「こういう場合どうすればいいですか?」という質問に対して、明確な指示(答え)が出ることを期待しがちです。
しかしAIシェルパは「こうしなさい」と答えるのではなく、受講者自身が答えを出せるように次々と問いを重ねてくれます。その結果、深い内省へと連れて行ってもらえるんだと思います。
ビジネスの現場では、単に他人のノウハウを「形」だけ真似しても意味がありません。「なぜそれがうまくいったのか」「どんな問いを投げかけるべきか」という本質的な部分まで自分で考え抜いて導き出した答えだからこそ、納得して動くことができますし、自分の記憶や経験として定着するのだと思います。
―― 対話を通じて「答え」を得るのではなく、「問い」を通じて「成長につなげる」という機能に価値を感じていただいたのですね。佐藤様ご自身がAIシェルパの価値を確信されたのは、どのようなタイミングだったのでしょうか?
佐藤様:トライアルでの実体験を通じてですね。「答えを出すAIではなく、問いかけて対話を深めてくれるAI」という概念自体は理解できても、要は自分で体験してみないと本当の意味がわからないものだと思うんです。
例えば、我々人材開発部門でも「学び」という言葉をよく使いますが、「学び=暗記や知識のインプット」だと解釈している人はすごく多いと思います。しかしAIシェルパを体験すると、「深く考えて自分なりの意味づけをする”今この瞬間”こそが学びなんだ」と、言葉の本当の意味が体感として理解できると言いますか。
人間は、自分が過去に体験した範囲でしか言葉の意味を理解できないと思うんです。AIシェルパを使って「深く考える、振り返る、意味づける」プロセスをじっくり経験したことで、「これが本当の学びなんだ」と学びのイメージがガラッと変わった受講者も多かったのではないでしょうか。
また、人間相手のコーチングだと相手との相性や気遣いが生じたり、本音を話しづらかったりすることもあります。その点、AIシェルパであれば「秘密が守られる安心感*1」の中で対話を深められるため、自分の内面と徹底的に向き合えるという大きなメリットがあると感じています。
*1.AIシェルパの対話内容はAIシェルパの運営会社であるシェルパス株式会社をはじめ、人事や経営者などの管理ユーザーに対しても閲覧権限は与えられていない。
最大の価値は「受講者が定期的に振り返る習慣を身につけた」こと

―― AIシェルパを導入して、どのような成果や変化がありましたか?
佐藤様:まだ全体の成果は測定中ですが、現時点での最大の成果は「受講者が定期的に振り返る習慣を身につけたこと」だと感じています。利用データを見ても、毎週欠かさず振り返りを行っている受講者が大半を占めており、これは非常に大きな一歩だと受け止めています。
人間相手のコーチングであれば、「なんとなくの空気感」や阿吽の呼吸によって、言葉にしなくても伝わったような気になれてしまうかもしれません。しかし、AI相手では自分の考えをしっかり言語化しなければ反応してくれませんよね。
自らの内面の変化や暗黙知を、一生懸命に言葉へ落とし込む機会が毎週作られていること。これ自体が、管理職としての成長において、極めて重要なプロセスになっていると考えています。
―― 定量的・最終的な効果測定としては、どのような指標をイメージされていますか?
佐藤様:今回対象となっている管理職候補者は、秋に管理職としての適性や素養を測る「アセスメント」を控えています。今回のAIシェルパによる伴走を経た受講者たちの合格率がどのように変化するかを、一つの明確な成果指標として注目しています。
AIシェルパが相手だからこそできる「言語化」と「深い内省」
―― 今後のAIシェルパの活用イメージや、期待している展開について教えてください。
佐藤様:職場実践を通じて得た個人の経験や気づきを、組織全体のナレッジとして還元・共有する取り組みを行っているのですが、そこでもAIシェルパを活用したいと考えています。
具体的には、「パターンランゲージ(実践のコツを『ことわざ』のように簡潔に言語化する手法)」の考え方を取り入れています。数ヶ月間の職場実践を振り返り、「誰もがパッと理解できるシンプルな一文」に要約して、周りのメンバーへナレッジとして共有する取り組みです。
周囲に簡単に伝わる「ことわざ」を作るには、日々の気づきを溜めることと、それをシンプルに言語化することの両方が求められるため、人間にとっては難易度の高い作業です。しかし、この「複雑な経験の言語化・要約」こそが、生成AIの最も得意とする領域なんですよね。
数ヶ月にわたりAIシェルパと対話を重ねて蓄積された経験の情報から、最終的に「自分自身の実践のコツ(ナレッジ)」が一言で抽出・出力される。そうした活用まで繋げられれば、研修や人財育成の成果が目に見える形として蓄積されていくのではないかと期待しています。
―― 現在も対話ごとにまとめとしてPDFを出力する機能などは存在しますが、数ヶ月にわたる取り組み全体を総括して言語化する機能も、ぜひ今後の開発で実現させていきたいです。
それでは最後に、今後AIシェルパに期待していることについてお聞かせください。
佐藤様:今まさに議論させていただいているところですが、「キャリア開発」や「組織開発」といった領域にも非常に高い可能性があると感じています。
キャリア開発(「自分は何者か」「今後どう生きていきたいか」)というテーマには、外部から与えられる手軽な正解やインプットは存在しません。
自分自身と深く向き合い、自問自答を重ねる中でしか答えは見つからないからこそ、問いを投げ続けて伴走してくれるAIシェルパの仕組みとの相性が良いと考えています。
―― ちょうど弊社とディスカッションいただいているテーマですね。
社内の人には少し相談しづらいキャリアプランや働き方の悩みのようなテーマであっても、AI相手であれば周囲を気にせず安心して自己対話を深められるため、非常に相性が良いと感じています。
本日は貴重なお話をいただき、本当にありがとうございました。